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東京地方裁判所 昭和52年(ワ)1114号 判決 1980年6月30日

原告

昭和海運株式会社

右代表者

山田総太郎

右訴訟代理人

吉本英雄

松本博

被告

株式会社トーメン

右代表者

横山健治

右訴訟代理人

石井萬里

佐野稔

主文

一  被告は、原告に対し、金五四一八万五四八八円及びこれに対する昭和五一年八月二六日から完済まで年六分の割合による金員を支払え。

二  原告のその余の請求を棄却する。

三  訴訟費用は被告の負担とする。

四  この判決は、第一項に限り、仮に執行することができる。

事実

第一  当事者の求める裁判<省略>

第二  当事者の主張

一  原告の請求原因

1  原告は、当初、後記2記載のとおり契約責任を主張して債務不履行による損害賠償請求権に基づいてのみ本訴請求をなしたが、昭和五三年一月二〇日本件第七回口頭弁論期日において訴えの変更をなし、右と選択的に後記3記載のとおり新しく法定責任の主張を追加して商法七五二条二項に規定する報酬請求権に基づいても本訴請求をなすこととした。

2  当初の請求原因(以下「旧請求原因」という)

(一) 原告は、海上運送業を営む会社である。

(二) 原告は、昭和五一年二月二四日、被告との間において、原告の運航する汽船グロリア・フォーチュナ号(M.V.GLORIA FORTUNA、以下「本船」という。)による君津及び広畑両港からイラン国バンダ・シャプール(Bandar Shahpour)港への被告の輸出鋼板約七六〇〇キロトンの運送について傭船契約(以下「本件傭船契約」という。)を締結した。

(三)(1) ところで、右バンダ・シャプール港は、埠頭・荷捌場等の港湾施設が完備していないため荷役能率が極めて悪く、このためバース待ちの船舶が輻輳し、加えて軍関係や穀物類の緊急物資を積載した船舶に対しては優先的にバースが与えられたため、同港においては、通常数か月間にも亘つてバース待ちのために滞船を余儀なくされていた。

(2) そのため、原・被告が加盟しているジャパン・インド・パキスタン・ガルフ運賃同盟(Japan/India-Pakis-tan-Gulf/Japan Conference、以下「同盟」という。)では、バンダ・シャプール港における右のような長期滞船状況に鑑み、同港へ同盟加盟船により運送される貨物については、基準運賃総額の八〇パーセントに相当する金員を船混加重金Congestion Surcharge)として課する旨決定し、これにより同盟の運賃表に準拠した貨物運送においては、荷主が運賃の他に右船混加重金の支払義務を負うという取扱いがなされていた。

(3) こうした状況下において、バンダ・シャプール港の港湾当局(Port and Shipping organization、以下「P・S・O」という。)は、同港における慢性的な船混みを解消するため、同盟と協議した結果、昭和五〇年一二月、D・D(Direct Discharge, Direct Delivery)手配、即ち船舶からトラック、トレーラーあるいは艀等の上への貨物の直接荷卸(D・D)に必要な陸側における準備をした船舶に対しては優先的に荷卸バースを与える旨の決定をなし、他方、同盟もこれを受けて、翌同五一年一月、船混加重金を課する取扱いを廃止する旨の決定をなした。

(四) 以上のような経緯から、原・被告は、本件傭船契約の締結に際し、荷卸バースを優先的に獲得するため、本船がバンダ・シャプール港に到着次第直ちに、即ち本船の同港への到着を不確定期限として被告がD・D手配をなす旨の特約(以下「D・D特約」という。)をなした。

(五) 原告は、自己の現地代理店マリタイム・カンパニー・リミテッド(Maritime Company Limited)をして、昭和五一年四月五日付テレックスをもつて、被告のテヘラン事務所の駐在員徳田に対し、本船が同月一〇日にバンダ・シャプール港に到着予定であるのでD・D手配を要請する旨の催告をなし、被告は、これによりD・D特約について約定の不確定期限が到来することを知つた。そして、本船は、昭和五一年四月一〇日五時にバンダ・シャプール港に到着した。

よつて、被告は、昭和五一年四月一〇日五時の経過をもつてD・D特約について履行遅滞に陥つたということができる。

(六)(1) 本船は、被告が約定どおりD・D手配をなしたならばバンダ・シャプール港到着後最長七日間の滞船期間をもつて着岸できたところ、被告のD・D特約の履行遅滞のために優先的に荷卸バースを獲得することができなかつた結果、右期間を超過すること73.593日間にも及ぶ長期滞船を余儀なくされて昭和五一年六月二九日一九時一四分にようやく着岸することができた。

(2) ところで、原告は、訴外チュン・シュン・ナビゲイション・カンパニー・エス・エー(Chung Shun Navi-gation Co., S.A.、以下「訴外会社」という。)から委託を受けて本船を運航していたものであるが訴外会社との昭和五一年三月一日付運航委託契約において、訴外会社に対し、運航受託最低保証料として一日当り米貨二八〇〇ドルを支払うべきことを約した。

(3) 従つて、被告は、D・D特約の履行遅滞によつて本船に73.593日間の滞船を余儀なくさせ、その間、原告に対して一日当り米貨二八〇〇ドルの割合による右運航受託保証料相当の損害を与えたというべきである。

(七) かくして、原告は、被告に対し、昭和五三年八月一六日付書簡をもつて、被告のD・Dの特約の履行遅滞による滞船期間73.573日間に対する一日当り米貨二八〇〇ドルの割合による損害金、即ち米貨二〇万六〇六〇ドル四〇セントを支払うべき旨の催告をなし、右催告は、同月二五日に被告に到達した。

(八) なお、米貨の円貨への換算は、右催告が被告に到達した日の翌日である昭和五一年八月二六日における電信売為替相場(T・T・S)によるのが相当であるところ、これによると米貨一ドルは円貨金二八九円七〇銭である。

(九) よつて、原告は、被告に対し、債務(D・D特約)不履行(履行遅滞)による損害賠償請求権に基づいて、米貨二〇万六〇六〇ドル四〇セントに相当する円貨金五九六九万五〇〇〇円及びこれに対する前記催告が被告に到達した日の翌日である昭和五一年八月二六日から完済まで商事法定利率年六分の割合による遅延損害金の支払を求める。<以下、事実省略>

理由

一当裁判所は、まず旧請求原因について検討する。

旧請求原因(一)ないし(三)及び(七)の各事実並びに本船が昭和五一年四月一〇日にバンダ・シャプール港に到着したことはいずれも当事者間に争いがなく、同(八)の事実は被告において明らかに争わないからこれを自己したものとみなす。

二そこで、D・D特約の有無について考えるに、<証拠>を総合すると、次の事実を認めることができ、これを覆すに足りる証拠はない。

1  本件傭船契約における陸揚港であるバンダ・シャプール港は、船混みがひどくてバース待ちのために何か月間も滞船を余儀なくされるという状況であつた(以上の事実は当事者間に争いがない。)ので、右契約締結交渉においては同港における陸揚をいかにして行なうかが重要な問題となつた。

2  しかしながら、その当時、バンダ・シャプール港では、P・S・OがD・D手配をなした船舶に対しては優先的に荷卸バースを与える旨の決定をなしていた(以上の事実は当事者間に争いがない。)ので、本船についてもD・D手配がなされれば優先的に与えられて従来のように長期間の滞船を余儀なくされることもなく、これは原・被告双方にとつて利益であることから、原・被告は、本件傭船契約の締結に際し、本船についてD・D手配がなされることを当然のこととして合意した。

3  そして、右のようにD・D手配については双方の利害が一致しており、その履行に関しては全く疑念が持たれなかつたために、D・D手配の手続は荷受人によつてなされるものであるが、原・被告間では、誰が責任をもつて右手続をさせ、右手続がなされないために停泊期間が荷物の陸揚に必要な期間を超えることによつて原告の蒙る損害をどのようにするかについて具体的かつ明確な交渉がなされないままであつたので、原・被告間に交された最初の傭船確約書(Original Fixture Note)である乙第一号証にもD・D手配に関する条項は何ら記載されなかつた。

4  その結果、D・D手配の手続の遅滞によつて原告の蒙る損害の処理について原・被告間に重大な解釈の相違が生じ原告は、D・D手配を被告が自らなすか、あるいは荷受人にこれをやらせるかは被告の内部の問題にすぎないから、被告がD・D手配をなすことを責任をもつて引受けたものと考え、他方、被告は、D・D手配をなすのは荷受人であるから、被告としては同人がD・D手配をなすか否かの確認をとればよく、それ以上の責任は被告にはないものと考えていた。

5  ところで、原・被告は、本件傭船契約において、船内荷役費(Steve-dorage)の負担条件として、当初はバース・ターム(Berth Terms)の約定をなし、貨物の積込・積付は船主(原告)の負担としたが、その後、これをF・I・S(Free in and stowed)に変更することに合意し、その結果、本船の貨物は、荷主である被告の危険と負担において積込・積付がなされた。

6  かくして積付された本船の貨物には三人の荷受人がいたのであるが、被告の右手配の過誤によりロット・ミックスという事態、即ち右三人の荷受人に振り分けられるべき貨物がそれぞれ混ざり合つた状態で積付られるという事態が生じてしまい、これが右作業完了直後に判明した。

7  そのため、原告としては、クリーンB/L(Clean Bills of Lading、無故障船荷証券)の発行ができなくなるとともに、D・Dを行なう場合には、混載積付された貨物の仕訳場所がないため、各荷受人に対して間違つた貨物を引渡したり、引渡すべき数量を間違つたりする、いわゆるミスデリバリー(Misdeli-very)の問題が生ずる可能性があることから、当初全く心配していなかつたD・D手配の履行に何らかの支障が起こるのではないかという危惧の念を持つに至つた。

8  そこで、原告は、昭和五一年三月二二日、被告に対し、乙第五号証を呈示し、フアールB/L(Foul Bills of Lading、故障付船荷証券)ではなくてクリーンB/Lの発行を希望するのであれば、そのためのL/I(Letter of In-demnity、補償状)を差し入れるべきこと及びロット・ミックスに関連してD・D手配が履行できず滞船が生じた場合には、一日当り米貨二八〇〇ドルの割合による補償をなすべきことを要求した。

9  これに対し、被告は、クリーンB/L発行のためのL/Iの問題とD・D手配の問題とは性質の異なる問題であるから、この二つは完全に切り離して考えるべきことを主張して、原告の右要求をそのまま受け入れなかつたが、前者については、フアールB/Lでは一般に為替銀行が荷為替取組に応じないため国際的慣行に従つてL/Iを差し入れることとし、昭和五一年三月二四日、乙第七号証の内容をもつて原告との間に合意を成立させ、後者については、三人の荷受人の中で最大の荷受人であるメスフローに本船の全貨物について一括してD・D手配をしてもらうべく、その確認をとる旨の説明を原告に対してなし、その旨の確認をとつた。

10  これにより、被告は、クリーンB/Lを発行してもらえるものと考え、右同日、運賃の支払について一応社内的手続をとつたところ、前記のようにD・D手配の履行について危惧の念を持つた原告は、D・D手配について被告の責任を明らかにした書類作成の必要性を感じ、D・D問題未解決を理由にB/Lの発行を拒絶した。

11  そして、原告は、前記のとおりクリーンB/L発行のためのL/IでD・D問題も一緒に補償してもらうことができなかつたため、D・D問題については傭船確約書のアデンダム(Addendum、付加条項)として合意内容を付け加える旨の同意を被告から取りつけたうえ、被告に対し、その内容として、D・D手配について責任を負うのは被告である旨を明記した乙第六号証やD・D手配を被告が保証する旨の乙第二号証等を次々に呈示してその同意を求めたが、被告は、D・D手配について責任を負うのは荷受人であつて、同人のやることを被告が保証することはできないとして、右いずれの提案に対してもその同意を拒絶した。

12  その後、被告が、原告に対し、対案として、D・Dが陸揚港でなされるべき旨の条項を甲第一号証(傭船確約書)中に追加し、かつ、本船がバンダ・シャプール港に到着次第直ちに荷受人がD・D手配をなすことを被告が確認した(co-nfirmed)旨のアデンダム(甲第二号証)を作成するという提案をなしたところ、原告は、昭和五一年三月二六日、これに対して同意回答を寄せ、その結果、発行の遅れていたB/Lも被告からの早期発行要求を受けて右同日発行されるに至つた。

13  しかして、昭和五一年三月二九日、右合意に基づいて甲第一号証中にD・D条項が追加され、かつ、甲第二号証が取り交されたことにより、難航したD・D問題にも一応の終止符が打たれることとなつた。

以上の事実を認めることができる。

なお、証人滝上博明は、甲第一号証中のD・D条項の追加及び甲第二号証の作成経緯に関連して、被告がD・D手配の履行を引受け、これを実際には荷受人をしてやらせることを確約した旨供述しているが、右供述部分は、前記認定事実に照らしてたやすく措信できず、他に右事実を認めるに足りる証拠はない。

そうすると、D・D手配に関して原・被告間に成立した合意内容として認められるのは、本船がバンダ・シャプール港に到着次第直ちに荷受人がD・D手配をなすということだけであるから、荷受人のD・D特約不履行により被告が責任を負うか否かは、D・D手配における荷受人の立場をどう考えるかにかかつているということができる。

三そこで、この点について判断するに、海上貨物運送契約においては、海上運送人は、特約なき限り、「船側から船側まで」(from alongside to alongside)の義務、即ち貨物の受取及び引渡場所について特約なき限り、積地の船側にて貨物を受取り、揚地の船側にて貨物を引渡すまでの関係について責任を負うだけであつて、積地の船側まで貨物を運び、揚地の船側にて貨物を受取るのは、その運送を委託した相手方の責任であると解される。もつとも、海上貨物運送の実務においては、揚地の船側にて貨物を受取るのは、運送を委託した相手方ではなくて貨物の荷受人として現われる第三者であるのが通常であるけれども、これは、海上貨物運送契約の当事者間においては、荷受人が運送を委託した相手方の履行代行者の立場でなしているものと解すべきである。

従つて、荷役作業は、右責任分野に応じてこれを分担し、積地、揚地とも、船内荷役作業は運送人が、陸側における荷役作業は運送を委託した相手方がそれぞれの責任を負うのが原則であつて、揚地での陸側における荷役作業が荷受人によつてなされたからといつて、運送を委託した相手方はその責任を免れることができない。

ところで、<証拠>によれば、D・D手配とは、船舶からトラック、トレーラーあるいは艀等の上への貨物の直接荷卸に必要な陸側における準備のことをいうのであるから、これは、まさに右陸側における荷役作業の前提ないしその一部分ということができる。

そうすると、貨物の引渡場所について何ら特約の認められない本件傭船契約においては、D・D手配は、運送を委託した相手方である被告の責任分野に属しているところ、前記認定事実によれば、原・被告間には荷受人がD・D手配をなすことについては合意が成立していたのであるから、被告は、原告に対し、右合意によつて荷受人をしてD・D手配をなす義務を負担したということができるのであつて、履行代行者たる荷受人のD・D特約不履行については、それが不可抗力に基づくものでない限り、その責任を免れることができないというべきである。

四次いで、被告のD・D特約による履行遅滞の有無について考えるに、旧請求原因(五)の事実中、本船が昭和五一年四月一〇日にバンダ・シャプール港に到着したことは前記のとおり当事者間に争いがなく、その余の事実(但し、本船の同港への到着時刻の点を除く。)は<証拠>を総合することによつてこれを認めることができる。

そうすると、本件においては、不確定期限の到来するより前に債権者の催告がなされているので、果して債務者がいつから遅滞に陥るかが問題になるところ、不確定期限の到来するより前に債権者の催告によつて債務者が将来の特定時点に期限の到来することを知つた場合には、右時点における履行に備えて債務者は当然その準備をなすべきであるから、右催告どおりに現実に期限が到来した以上、その現実の到来を債務者がさらに知つたか否かにかかわりなく、右時点の経過をもつて債務者は遅滞に陥るものと解すべきである。

従つて、本件においては、期限到来前の原告の催告によつて被告は期限が昭和五一年四月一〇日に到来することを知り、しかも同日右催告どおりに現実に期限が到来したのであるから、被告は、同日の経過をもつて、即ち同月一一日以降遅滞に陥つたというべきである。

原告は、右認定に反し、昭和五一年四月一〇日五時の経過をもつて被告が遅滞に陥つた旨主張しているが、これは採用できない。

五進んで、被告のD・D手配の履行遅滞によつて原告の蒙つた損害について考える。

まず、本船が昭和五一年四月一〇日にバンダ・シャプール港に到着したことは前記のとおり当事者間に争いがなく、<証拠>を総合すると、本船は、右到着後、同年六月二九日一九時一四分に着岸するまで同港に滞船した事実を認めることができる。

次に、<証拠>を総合すると、被告が約束どおりD・D手配をなしたならば、本船は、優先的に荷卸バースが与えられて、遅くとも昭和五一年四月二三日には着岸できた事実を認めることができる。

そうすると、被告が遅滞に陥つた昭和五一年四月一一日から同年六月二九日一九時一四分までの本船の滞船期間のうち同年四月二四日以降の滞船期間が被告のD・D特約の履行遅滞によるものと認めることができる。

なお、原告は、本船は最長七日間の滞船期間をもつて着岸できたから、同期間を控除した残期間、即ち昭和五一年四月一七日五時から同六月二九日一九時一四分までの期間が被告のD・D特約の履行遅滞による滞船期間である旨主張しているが、右事実を認めるに足りる証拠はない。

そして、<証拠>を総合すると、旧請求原因(六)の(2)の事実を認めることができるから、原告は、被告のD・D特約の履行遅滞による前記滞船期間中、一日当り米貨二八〇〇ドルの割合による損害を蒙つたというべきである。なお、<証拠>によると、滞船期間中に原告が一日当り蒙る損害が米貨二八〇〇ドルであることは被告として当然予見しえたことであることを認めることができる。

従つて、昭和五一年四月二四日から同年六月二九日一九時一四分までの期間66.8日間に対する原告の損害額は米貨一八万七〇四〇ドルとなり、原告が被告に対して右損害金の支払を催告した日の翌日である昭和五一年八月二六日における電信売為替相場(T・T・S)における米貨一ドル、円貨金二八九円七〇銭の割合により、これを円貨に換算すると金五四一八万五四八八円となる。

六以上の次第であるから、原告の本訴請求は、金五四一八万五四八八円及びこれに対する催告の到達した日の翌日である昭和五一年八月二六日から完済まで商事法定利率年六分の割合による遅延損害金の支払を求める限度において理由がある。このことは、仮に新請求原因につき判断しこれが認容されるとしても、右限度を超えうるものではないから、更に、新請求原因につき判断する必要はない。

七よつて、原告の本訴請求は右限度において理由があるからこれを認容し、その余は失当であるからこれを棄却することとし、訴訟費用の負担については民事訴訟法八九条及び九二条但書を、仮執行の宜言については同法一九六条一項を、それぞれ適用して、主文のとおり判決する。

(山口和男 山口忍 原優)

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